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2017年 シンガポール視察
2017年11月14日~17日
シンガポール
株式会社勝島経営研究所ビジネスカツシマ
引率者 勝島一真 金子剛
          

1.はじめに
 国土面積約720k㎡、東京23区と同じくらいの小さな国シンガポールを視察しました。イメージ的にはあのマリーナベイサンズホテルに象徴される華やかでゴージャスな、そしてきれいな国という感じでしたが、それだけではなく非常に分かり易い国だと思いました。たとえばタバコを法律で規制しているため喫煙者にはかなりきついと思いましたがまったくスモーキングエリアがない訳ではありませんし、路上の灰皿も一工夫あり、上は灰皿、下はゴミ入れとなっている等国としてはっきりしている感じがしました。物価は観光エリア等は日本の約1.5倍くらいでしょうか、
 デパート地下ではたいやきが150円くらいで売られていました。しかし、ローカルなエリアでは安くてもおいしいものがたくさんあり、そこではむしろ日本の8割くらいの値段の感じでした。高所得者層と低所得者層それぞれの生活水準に合わせて暮すことができます。シンガポールの経済はというと高級ブランドショップやデパートでは時間帯もありますが、それ程お客は多くなかった感じがします。
 ここ最近の中国人富裕層の減少が影響しているように思われます。しかし、国として優秀な学生をシリコンバレーに派遣するなど将来に向けて様々な努力も続けています。

 今回の視察ではシンガポールの表と裏それぞれの姿を見ることができました。

2.視察先
◆ KAJIMA OVERSEAS ASIA PTE LTD ~大手ゼネコン~
 まずは鹿島オフィスASIA PTE LTDに訪問しました。今回の視察を全面的に支援していただいたTHシニアマネージャーからシンガポールの市場や事業展開等について総合的に説明をしていただきました。鹿島オフィスは、鹿島建設のシンガポール現地法人として設立され、現在はシェントンウェイ(金融街)の改修や国立伝染病センターを手がけているとの事でした。
 シンガポールは地震がないため木造の建物が歴史的になく、ブロックの方がより安価に速くできるようです。国土の7割を国が所有しており、土地の購入は非常に大変で高級マンションとなると250~300㎡で約6億円、300㎡~900㎡では50億円くらいにもなってしまうため8割くらいは郊外の公団を若い時に買うことが多いそうで、さらに婚約をしていないと買えなくなっています。
70~80㎡で1,000万~1,500万円くらいの値段であり外国人は購入できないし、借りることもできないようです。外国人向けのコンドミニアムでは2~5億円が相場となっています。
不動産取引では民間どうしは少なく、土地は公開入札で最低分譲開始価格があるようです。シンガポールにおける不動産取引は川の激流にお金を入れて取り出すようなくらいの困難さがあるため鹿島建設では他で出来ない難しい工事で提案し、評価を受けているとの事でした。その他いろいろとスライドを使って説明していただきました。

◆ シンガポール国立病院           ~医療機関~
 通常では普通視察することのできないシンガポール国立病院病理学棟を見学しました。世界各国から最先端の医療技術の発表や習得に医療関係者が集まる総合施設として建設されており、医師や看護師の卵達に超一流の指導が行われていました。現場ではミラーガラス越しに室内の多数のカメラから写される映像をもとにマイクで細部に渡り指導がされているようです。医療機器等もドイツや日本(オリンパス等)の最先端設備が導入されています。
 実験にはマネキンが使われたりしますが、高級なマネキンには専門のメンテナンススタッフがいる程でもちろん見学はできませんでしたが、検体の実験保管庫もありました。繊細な手術のオペレーションのための練習用機材もあり、実際にモニターを見ながらリングを動かしたりする作業に挑戦をする方もいらっしゃいました。恐らく2度と体験することができないことと思います。
 施設面でも充実しており静かな環境の図書館や実際にステージで指導スタッフのもとグループで活発に討論している生徒達の姿もありました。アメニティエリア等もあり、指導スタッフ、生徒の両方に常に快適で最高の指導が受けられるよう配慮された世界でも類を見ないくらいの巨大な総合施設だと思いました。

◆ Grand jete          ~日本人経営レストラン~
 シンガポールの高級デパート店である高島屋の中にあるCafe&Bar Grand jeteを視察しました。代表のKTさんは異色の経歴もつ在星約30年のバイタリティーある経営者です。本業はシンガポールの大手食品メーカーに日本の食材を提供したり、その食材を使用した提案等も行なっています。お店は一等地のため通常であれば家賃月額300万円程のところを当面安い賃料で借りてできるだけ価格を押えて来店を増やすよう工夫されています。スタッフも店内の広さの割に多いように思いましたが、本社工場の人材を生かし、研修・研究の場としても活用されています。日本のお客様も多く、同窓会や各種ミーティング・パーティー等にも利用されているようです。小さい子供が一緒の場合、なかなか気軽に食事ができないレストランが多い中、比較的くつろげるお店は貴重かもしれません。訪問時にも若い日本人マダム達が子供連れで食事をしていました。長年の経験を生かしシンガポールに進出の際のいろいろなアドバイスが受けられることと思います。
 



【その他視察先】
◆MEDIA JAPAN PTE LTD    ~マスコミ・広告業~
◆TOMI SUSHI Singapore ECHIGOTEI   ~富寿司~
◆MARINA BAY SANDS ~高級ホテル・カジノ・複合施設~


3.おわりに
 今回の視察では移動に片道約7時間必要であったため実質的には移動時間を除くと15・16日の2日間でしたが、その分非常に内容の濃いものとなりました。1日目最後の富寿しでは結果的には時間が押してしまいましたが、地元上越のお店でいろいろお話を聞くことができたことは非常に有意義であったと思います。また、限られた予算の中でマリーナベイサンズに最終日1日でも宿泊することができ、いろいろな施設を見学できたことは非常に価値のあるものとなりました。今回の海外視察で得られた情報を上越においても今後活用して行きたいと思います。